プレゼントのアピール&プロフィールコピーライターのプレゼント
広告雑感アーカイブ(8)

マンスリー広告批評〈12.3月〉

私が発信している当Webサイト「今日の気になる言葉123」とブログ「いいコトバ」の2011年度更新分から、広告(業界)関連の話題をまとめてみました。 「マンスリー広告批評」向けに書かれたものではないので多少テイストは違いますが、見逃された方はぜひご覧ください。

※表現の領域まで踏み込んだコラムについては、社会的な視点を重視する本欄の趣旨と異なりますがご勘弁ください。“公には二流”のコピーライターとして、クリエイティブの視点からの評価は極力控えているつもりです。
※なお、ブログに併載している写真は省略しています。

 

■弊社WEBのコラム「今日の気になる言葉123」から。

「恋する静物。」
という展覧会を「名古屋ボストン美術館」で開催中と本日の「日曜美術館」。村田製作所のキャッチフレーズ「恋する部品製作所」以来、この「恋する」は、広告業界ではロングランの流行りフレーズになったが、この展示タイトルを見て改めてこの言葉の根強さを知った。
●No.3796/12.4


「Your Vision,Our Future」
改めてオリンパスのこの企業スローガンを見た。「これからも社会とともに生き、社会とともに夢を実現していくという私たちの決意」と同社WEBサイト。過去の損失計上の先送りは「社会とともに」が絵空事であった事を示す。広告の言葉はいとも簡単に現実離れする。
●No.3773/11.8


「クルック。」
近所の中華料理店に入り「特級鶏卵」なる言葉の下にこの文字があり、なぜか気になる。ネット検索すると阿久津食品(株)のれっきとしたブランドだった。「環境にやさしいA-PET抗菌パックを使用」の「スーパークルック」もあり未知の業務用鶏卵の世界が広がる。
●No.3747/10.12


「え、Xに熱愛宣言?」
の見出しと「ペンニチ」なるタイトルにスポーツ紙風のデザイン。久々にベタなDMが届く。ぺんてるの「ENERGEL・X」のネーミングとX JAPANを掛け「仰天スクープ」の文字も躍る。私もかつて同趣旨でコピーを書いた。「X」ならやりたい気持ちは分かる。
●No.3718/9.13


「内視鏡の日。」
が14日だと昨日のオリンパスの新聞広告。「治療への取り組みが早いほど精神的にも身体的にもより少ない負担で治すことが可能になる」と書くが、明日、この内視鏡検査を受ける私はここ数年、検診をサボっていた。「年に一度の約束」とキャッチで訴える通りである。
●No.3656/7.15


「女子高生を
 しっかりとした
 社会人に変える
 力が、ただ聞いている
 だけで済む講義に
 あるだろうか。」
と産能短大の車内広告。キャッチフレーズの一つの典型だが、そもそもいかなる大学の卒業生も社会人になって初めて社会人としての勉強をするのだ。また、この訴求点は当の大学が「ただ聞いているだけで済まない」講義を行うとほのめかすが、根拠と定義が曖昧である。
●No.3655/7.14


「そのかわり、
 オレより長生きしろよ。」
妻、深津絵里と夫、リリー・フランキーの日常を描くダイワハウスグループのCMで、最後にリリーが呟く言葉だが、私は妻を看取ってから死にたい。年齢がだいぶ私が上で男女の平均寿命からすると大変なのだが、冒頭の言葉は「老後の面倒は宜しく」と言うのと同じだ。
●No.3633/6.22


「ちくま文庫には
 酒場について
 書いた本が何冊もある。」
と片岡義男氏(『日経マガジン』6月号)。あくまで氏の所感だが古典落語の本が多いはず(川中の所感)の筑摩書房の文庫だから何となく分かる気もする。酒場のエッセイといえばいまや太田光彦氏だが、この方、デザイナー出身とは思えぬ味わいが行間から漂ってくる。
●No.3630/6.19


「感動大国、フランス。」
とエールフランス航空の広告。妻の旅行バッグを飛行場で失くされたうえ、戻ってきたバッグの鍵が壊されていたという苦情の手紙を放置し結局は認めなかったこの航空会社への苦情はインターネットにも溢れる。私はこの会社の広告を見る度に「広告って悲しい」と思う。
●No.3629/6.18


「落語のコピー。」
宣伝会議「コピーライター養成講座/特別講義」で6826本から厳選されたコピーを紹介(『ブレーン』6月号)。立川志の輔師と講師両名には選ばれなかった「人ってやつは(笑)」が好き。15歳で高校の落研の初高座を経験した私も最近、落語と疎遠なのが寂しい。
●No.3599/5.19

「3.11が変えた価値。」
という見出しで、結婚相談所の異例の成婚率や地盤の固いさいたま新都心やつくばエクスプレス沿線のマンション人気を報じた本日発売の「サンデー毎日」。それよりエネルギーへの価値観が変わってほしいと思うが、最近は仕事でも震災以降の価値観の転換が話題になる。
●No.3596/5.16

「とちぎ県観光安全宣言。
 日光市観光安全宣言。」
と並記され各々県知事、市長の直接メッセージが掲載された中吊広告が東京メトロ車内に。日光が安全でないと考える日本人が何%いるのか。客数減は大震災後の(気分的な)一時的傾向で、もし安全を訴求するのなら外国人向けだと思うが、日本人はそこまで冷たいのか。
●No.3594/5.14

「守ってね、交通ルール
 広げよう、交通安全の輪。」
これまで結構、言葉で遊んでいた「全国交通安全運動」ポスターのキャッチフレーズだったのに、今年の春はこんな表現に。憶測かもしれないが、時勢に配慮し手堅くまとめた印象がある。もちろん分かりやすいのだが、あえて訴えるべきメッセージではないよね彩ちゃん。
●No.3592/5.12

「新しいメディアには
疎い方なので、
毎回広告を作るときは
必死なわけですよ。」
とタグボートの岡康道氏(『コマーシャルフォト』2月号)。新しく生まれたものに分からないと遠ざけるのは易しいけれど、まだ悔しいという気持ちもある、と語る。私と同い年なので当然、岡氏クラスより遥かに私の方が危機感あり。いま女子高生向けケータイを扱う。
●No.3538/3.19

「音メンスタイル♪」
とパナソニックのヘッドホンの広告。男性のあるタイプを「〜メン」という表現で表す傾向は「イケメン」からの復活か。最近は「育メン」が目立つが、甘メン、ボンビーメン、フケメンなどがネット検索で浮かび上がる。「Gメン」なんて75年から放映されていますが。
●No.3522/3.3


「『みさきまぐろきっぷ』と
 『よこすかグルメきっぷ』。」
とは京浜急行が実施している乗車券とお食事券、施設利用券がセットされたロングランキャンペーンだ。これが好評だという。いずれも当社が取材(現場コーディネート含む)・コピーを担当したので誠にうれしい。不況といってもメリットのある販促は必ず効果が上がる。
●No.3488/1.28


「そなた。」
先日「皆々!」の平板読みについて書いた「江〜姫たちの戦国〜」だが、この言葉もそうだ。従来の時代劇では語頭にアクセントがあったはず。戦国時代の話にアクセントもないかもしれないが、発音に配慮すらないのが情けないのだ。CMも同じく情けない状況を呈すが。
●No.3483/1.23

 



■ブログ「いいコトバ」から。

応援してください。

武豊騎手は、勝利騎手インタビューで「応援よろしくお願いします」
とは言わず、必ずこう言うと、競馬評論家の立川末広さん
(『サンデー毎日』9.18号/予想上手の馬券ベタ)。
井崎脩五郎さんが紹介しているのですが、「真剣な気配が伝わって
くる」と井崎さんが述べています。「思います」とか「かな」を
付けたり、謙譲と尊敬の区別もつかないま「いただく」ばかり繰り
返したり。そんな婉曲的な言い方よりもストレートがいい。

ベンザエースを買ってください。仲畑貴志さんの超名コピーです
(2011.9.15)


負けてタマるか。

のキャッチフレーズに店舗前で決意のポーズをとる、宮城県は
「パチンコオータ古川店」のスタッフの皆さん。それは、
「パチンコ必勝ガイド」の車内広告でした。この「タマるか」の
「タマ」はもちろんパチンコの「玉」の意味をかけているのですが、
東北を応援する雑誌の姿勢を、パチンコという遊戯の位置づけを
失わずにしっかりとメッセージした表現が素敵だと思いました。
「負けてたまるか」。この言葉、日常で最も必要かもしれません。

人間は滅びはしても敗れ去ることはない。ヘミングウェイ、再びです。
(2011.9.11)


慎ましい幸福。

が花言葉の「茄子」が今日の花であると夜明け前の「ラジオ深夜便」。
「贅沢な」だとか「上質の」だとか「ひとクラス上の」など、
広告における常套句はなぜか「幸福」という言葉には似合わず、
むしろ価値を低めるという皮肉。
人生に、この「慎ましい幸福」以外に目指す道はあるのだろうか。
誰もが目指す「幸福」という目標が、慎ましさのなかにこそ輝く。
人生というものの不思議が、ここにあります。そして、

私は心底、この言葉に憧れます。
(2011.8.19)


死ぬまで目隠しした馬のように走る。

そう生きるかどうか、自問したのは、私がコピーライターになった頃、
一世を風靡していたグラフィックデザイナーの石岡瑛子さんです
(14日の『プロフェッショナル 仕事の流儀』)。
その栄光をあっさり捨ててニューヨークへ渡った気骨も凄いですが、
全米の注目が集まるブロードウェイミュージカル「スパイダーマン」の
コスチュームデザインにおいて、周囲の反対にもめげず自らの信念を貫く
その圧倒的なエネルギーには敬服しました。石岡さんも、

まさか目隠しはしないでしょう。でもその“馬力”は見習いたい。
(2011.3.01)


自分だけが逃げないで
責任感をもって
最後まで粘れるヤツ。   

それがリーダーの条件だと語ったのは、日本のクリエイティブ
エージェンシーの先駆けだった(株)タグボート代表取締役
岡康道さんの言葉です
(『ブレーン』2月号)。
川口清勝、多田琢、麻生哲朗という気鋭の3人を束ねてきたリーダー
シップは想像以上です。しかし、企業のトップであればこの3つの条件は
必須です。岡さんの真の指導力は、本当は別の場所にあるはずなのですが。

さて、皆さんの周囲のリーダーは、この3条件を実践していますか
(2011.2.21)



バックナンバー
●広告雑感アーカイブ(7)
●広告雑感アーカイブ(6)
●「くりかえしネーミング」調査’09
●テレビCMにおける許し難い平板読み
●広告クリエイターのコミュニケーション能力(2)
●広告雑感アーカイブ(5)
●クリエイターのコミュニケーション能力(1)
●広告雑感アーカイブ(4)
●広告雑感アーカイブ(3)
●CMへの悲鳴と皮肉
●「手紙」という広告
●政治広告の嘘
●広告雑感アーカイブ(2)
●広告雑感アーカイブ(1)
●「さ、」のリユース
●「スタッフの勝手な近況」から(8)
●「リライト」論
●“広告会社”という言葉への大いなる疑問
●CMキャラクターという架空
●ライターと呼ばないで
●「スタッフの勝手な近況」から(7)
●誰がアメリカの広告戦略を担えるのか
●広告と社会との関係
●こんな言葉を広告で見かけませんか?(2)
●私的「三点リーダ」論。
●店頭には責任を持たなくてよいのか?
●「スタッフの勝手な近況」から(6)
●エーペラ文化
●迷走する「広告の迷走」。
●こんな言葉を広告で見かけませんか?(1)
●「スタッフの勝手な近況」から(5)
●コピーライターという言葉
●イメージへの過信
●「スタッフの勝手な近況」から(4)
●コピーライターの性別
●いいコピーライターになるための50の条件
●「スタッフの勝手な近況」から(3)
●「ソリューション」の憂鬱
●自民党宮城県連のテレビCMへの異議申し立て
●「スタッフの勝手な近況」から(2)
●「現代広告の読み方」
●疑似表現について
●「スタッフの勝手な近況」から
●業界誌の広告観
●既成概念への配慮について
●広告スペースを選ぶ必要はないのか?
●チカラ(力)がただいま流行中
●広告批評の限界について
●“広告英語”の現在
ご意見・ご感想はこちらまで
マンスリー広告批評
プレゼントのアピール&プロフィール
プレゼントNOW(作品)
プレゼントNOW(近況)
プレゼントの五反田MAP
PRESENT MAGAZINE
言葉の展覧会
今日の気になる言葉123
英語インタビュー
コピー無料作成
コンパクト・パブ・システム
Thank&Write PRESENT CO.LTD