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「スタッフの勝手な近況」から(8)

マンスリー広告批評〈04.12月〉

当Webサイト内の「スタッフの勝手な近況」で私が書いた広告に関する文章をまとめて載せてきた「『スタッフの勝手な近況』から」シリーズ。なんと11月に気づいたら、お正月のCMについての感想以来、全く広告について取り上げておらず年末に駆け込みで何とか1年ぶりのシリーズ8回目をお届けすることができました。広告に対する関心が低下しているのか、それとも関心を惹きつける広告がなかったのか。それでは、皆さんもうお忘れになっているかと思いますが、1年前のダスキンのCMからスタートします。来年はもう少し、広告についての感想を書き留めておきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。

●お正月から始まったダスキンのCMご覧になりましたか?
2バージョンありましたが、温かな家族の心の交流が淡々と描かれていてよかったですね。一つは年寄り夫婦の食事(朝食?)風景で、おばあさんが立った隙に、おじいさんが2人の湯飲み茶碗を入れ替えると、戻ってきたおばあさんが茶碗に立った茶柱を見て微笑む(おじいさんは素知らぬ顔)一編。もう一つは、小学生くらいの兄妹の就寝シーンで、先に行ったお兄ちゃんが妹の布団に入ってしまう。そこで後から来た妹が怒って追い出すのですが、その後で「あったかい」と妹の一言が聞こえ、同時にこちら向きで寝ているお兄ちゃんがにっこりするというもの。お正月のナンバーワンかな。いつも話題のサッポロビールの新春CMは、いま一つリズムが(居酒屋の音を素材にリズミカルに展開する)狙い通りにいかなかった感じだったけど。
(1月16日)

●JR山手線「恵比寿」駅の発車音がエビスビールのCMソング(映画『第三の男』のテーマ曲)に先月から変わったのだが、私はてっきりサッポロビールとの提携だと思っていた。しかし実際は、駅周辺の3商店街が「ハイグレードな町の雰囲気にふさわしい発車メロディーなので地域活性化のために採用してほしい」とJR東日本に要望したらしい。度々車内での会話にもなっているが、CM効果はかなりある。
(11月12日)

●「はごろもフーズ」の今週の全15段新聞広告のキャッチフレーズ「さかなを食べる国は、将来だいじょうぶだと思う。」この言葉の意味はよく分かるし、けちをつけるつもりもないのだが、すぐ思ったのは「さかなを食べる国は」は「さかなを食べられる国は」がいまは正しいということ。我が家では日本近海の魚しか絶対に買いませんから(もちろんそれだってダイオキシンや水銀がある程度入っているのだけれど、そう考えていくと魚は食べられないし哀しくなってくる)。
(11月19日)

●プレゼントも、Xmas(写真) 。 もういい加減、「Xmas」に’付けるのやめましょう、コピーライターの皆さん!
(12月17日)

●無印良品が発信する今年のXmasギフトのスローガンは「好きな人にものを贈る。」“贈り物”と言うくらいで、贈るのは普通「もの」なのに、わざわざ「ものを」と入れた点が謎だ。「ものを」と限定した時点で、贈る人の「こころ」が伝わりにくくなるという意味で疑問の残る表現である。これが「こころを」なら分かるし、この場合は「もの」の方も排除されない。「こころ」は物理的には贈れない存在なので「こころを贈る」と言えば「ものと一緒にこころを贈る」という意味に解釈できるのである。このキャッチ、むしろ「ものを」を削除し「好きな人に贈る。」とした方がキレもいいし、意味がふくらむ。と、ここまで書いてあえてコピーライターの立場を代弁すれば、クライアントが無印良品であるという条件がかなり表現を左右しているということだ。余計な装飾を省き「もの」の品質を追求してきたこの企業が訴えるギフトだから、あえて「ものを」を入れたのであろう。ちなみに英文スローガンは「Sending a MUJI for someone special」で、和文の「ものを」は当然ながら「MUJI」というブランドの商品を指しているのが分かる。しかし、言わなくても想像される「ものを」をあえて入れたため「もの」が強調され「こころ」が排除された点は避けられない、と書かざるを得ない。
(12月24日)
(2004.12.24)
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●CMキャラクターという架空
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●広告と社会との関係
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●迷走する「広告の迷走」。
●こんな言葉を広告で見かけませんか?(1)
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