1.聞き上手でない人間は、いいコピーライターになれない
2.ベルを鳴らしながら自転車で歩道を突っ走るような人間は、いいコピーライターになれない
3.座った電車の座席の自分の横が少しだけ空いていた時、自分から詰めて1人分の席を空けられない人間は、いいコピーライターになれない
4.自分のことを話題にする時、陶酔して35秒以上話し続けてしまう人間は、いいコピーライターになれない
5.道端に平気でゴミを捨てられる人間は、いいコピーライターになれない
6.贈り物の下手な人間は、いいコピーライターになれない
7.調べ物の嫌いな人間は、いいコピーライターになれない
8.人混みで突然自分が立ち止まった時、後ろの人に「すみません」と声をかけられない人間は、いいコピーライターになれない
9.後輩と飲んでいる時、説教じみた言葉を吐く人間は、いいコピーライターになれない
10.語尾上げ言葉を使う人間は、いいコピーライターになれない
11.コピーライターという職業を、たとえ冗談でも卑下する人間は、いいコピーライターになれない
12.会議の途中で携帯電話が鳴った時、会議を中断して話すような人間は、いいコピーライターになれない
13.「大至急」という言葉を相手に使う人間は、いいコピーライターになれない
14.住所を書くときに郵便番号を忘れる人間は、いいコピーライターになれない
15.電話をかけた時に、出た相手の状況に気を配れない人間は、いいコピーライターになれない
16.混雑した電車内を移動する時、「すみません」と声をかけられない人間は、いいコピーライターになれない
17.本を読むことが嫌いな人間は、いいコピーライターになれない
18. 歩きながら煙草を吸うことの危険を感じとれない人間は、いいコピーライターになれない
19.飲み会の席で、話になかなか加われない人物に気づいてあげられない人間は、いいコピーライターになれない
20.ゴミの分別をできない人間は、いいコピーライターになれない
21.敬語を使えない人間は、いいコピーライターになれない
22.メールのREに無粋さを感じない人間は、いいコピーライターになれない
23.映画を見ながら前の座席に足をぶつけて平気な人間は、いいコピーライターになれない
24.政治に関心のない人間は、いいコピーライターになれない
25.ペットボトルのシールをはがしてからリサイクル用のボックスに捨てられない人間は、いいコピーライターになれない
26.整理整頓が嫌いな人間は、いいコピーライターになれない
27.トイレットペーパーの端を次の人のためにと折ってしまう人間は、いいコピーライターになれない
28.混雑した電車内で新聞・雑誌を読む時に、めくったページが周囲の乗客に触れても気づかない人間は、いいコピーライターになれない
29.頼んだ事に対してもう一度指示を出す際に、既にしてもらった成果に対する批判から入る人間は、いいコピーライターになれない
30.食器を洗う時、電気を消す時、環境のことを思わない人間は、いいコピーライターになれない
31.後ろから来る人のために、ドアを開けたまま押さえてあげられない人間は、いいコピーライターになれない
32.人と会うのが嫌いな人間は、いいコピーライターになれない
33.道順を教えるのが下手な人間は、いいコピーライターになれない
34.自動改札で自分のミスのために出入り口を遮断した時、後ろの人に頭を下げられない人間は、いいコピーライターになれない
35.書類の角をホチキスで留める時、見た目の美しさと開きやすさに気を配れない人間は、いいコピーライターになれない
36.電車のドア付近で立ち止まり、降りる人の邪魔をする人間は、いいコピーライターになれない
37.煙草を吸わない人に配慮できないスモーカーは、いいコピーライターになれない
38. 酒という存在に敬意を払わない人間は、いいコピーライターになれない
39.小さな事に感動できない人間は、いいコピーライターになれない
40.自動車の運転が環境を傷つけていることを意識できない人間は、いいコピーライターになれない
41.お礼を述べることに消極的な人間は、いいコピーライターになれない
42.辞書を引くことを躊躇する人間は、いいコピーライターになれない
43.自分の聴いている音楽が他人には苦痛かもしれないと考えられない人間は、いいコピーライターになれない
44.両親を大切にしない人間は、いいコピーライターになれない
45.酔って同僚の悪口や愚痴を言う人間は、いいコピーライターになれない
46.排気ガス渦巻く都心の交差点に咲く一輪のタンポポに気づかぬ人間は、いいコピーライターになれない
47.受けた電話の用件をメモする時、注意力を働かせて書けない人間は、いいコピーライターになれない
48.我慢強くない人間は、いいコピーライターになれない
49. 相手が誤解した時に、自分の伝え方を省みない人間は、いいコピーライターになれない
50.思いやりのない人間は、いいコピーライターになれない。
もう20年以上も昔、宣伝会議の「コピーライター養成講座」がまだ銀座の裏通りで行われていた頃、当時、宣伝会議の講師で、後に私の上司となる久保皓氏が 語った言葉が印象に残っている。「いいコピーライターの条件とは、例えばおいしい珈琲をいれられること。」この言葉の意味を、ここで詳しくは述べないが、 コピーライターの資質の根本には“思いやり”があると、久保氏は言いたかったのだと私は思っている。上に書かれた50の「いいコピーライターの条件」は、 半分は遊びで半分は本気だ。ただ、多くの項目はこの“思いやり”から発している。「半分は遊び」と書いて不謹慎と思われた方もいらっしゃるかもしれない が、「遊び」の半分は本気である。例えばいまや、会議中にかかってきた携帯電話には出ないなどという人間はむしろ少数派で、多くの優秀なコピーライターの 皆さまの中にも“会議の途中で鳴った携帯電話に出る”方がいらっしゃるはずである。私は「会議の途中で携帯電話が鳴った時、会議を中断して話すような人間 は、いいコピーライターになれない」と書いたが、そのような方たちに対し単に携帯電話の使用スタイルだけで、コピーライターとしての資質まで厳格に否定す るものでは、もちろんない。その点を「遊び」と書いた。ただし、会議中にかかってきた携帯電話に、私は絶対に出ない。それによって会議の進行が中断してし まうなら、なおさらである。これを私は、会議の参加者への“思いやり”であると思っている。ざっと読むと、何だか地球環境保護のパンフレットみたいな気が した方もいらっしゃるかもしれないが、地球環境への配慮は地球人の“思いやり”そのものである。あるいは「ただの小うるさいオヤジ」と思われた方もいらっ しゃるかもしれない。公共の場での振る舞いなど、多分に“オヤジ”である私の私見が入っているのは承知だ。だから「半分は遊び」なのだ。だが、それらの項 目も含め多くの条件は“思いやり”と結びついている。なぜ“思いやり”がコピーライターにとって大切かについて述べることは、私より遙かに適任である数多 くの「いいコピーライター」の皆さまがいらっしゃるので、ここで私がそのように杓子定規なコピー論めいた話をするつもりはない。なお、私は自分自身ができ ない条件はここに掲げていないつもりである。ただ1つだけ、私が贈り物上手かどうかについては少し疑問なのだが、私はそのような意味合いも(もちろんその 他の意味も)こめて、社名をプレゼントとしたのである。上手な、受け取った人に歓ばれるような贈り物は、常に“思いやり”にあふれているものだからであ る。