2001年8月分

「緊縮。」
「50兆円しか税収がないのに(国債は)30兆円の範囲内で(発行して)予算編成する。決して緊縮じゃない。」との小泉首相の言葉を日本経済新聞本日朝刊で紹介。その通り。決して小泉シンパではない私も、マスコミの安易なご都合主義、言葉への鈍感さに失望する。
●No.207/01.8.31







「携帯電話の  
 ご使用は  
 ご遠慮    
 ください 。」

の車内アナウンスでJRは統一。東急電鉄は車輌別で「通話はご遠慮ください」と「電源をお切りください」に分けた。小田急電鉄は車掌により違う。メールと「ご使用」の違いは曖昧だが、ペースメーカー利用者は「通話」以外に指先の「ご使用」も困るはずなのである。
●No.206/01.8.30







「おじさん 。」
本日のはなまるマーケットはトンネル掘削のレポート。それ自体に問題はないが、作業員の方を指して「おじさん」と説明するレポーターには呆れた。自分と相手の位置を理解して言葉に出せないのである。つまり言語能力が幼稚なのである。「おばさん」もやめてほしい。
●No.205/01.8.28







「コミュニ  
 ケーション
 とは、  
 相手の心に  
 入り込む
 こと。」
と、単なる意味でなく英単語の背景にある物語を思い浮かべる英語術を説く作家、R・パルバース氏と、「相手の立場に立って物事を判断する」オフィス処世術を説く経営コンサルタント、斉藤聖美氏。いずれも日本経済新聞本日夕刊から。正論だが、永遠の難問でもある。
●No.204/01.8.27







「売れて
 いる。」

日本経済新聞本日夕刊に売れてる記事2つ。スカパーの通販チャンネルQVCジャパンは計画を20%上回る実績で、プランタン銀座では、もうフェイクファーのブルゾンが入荷の半数売れたという。確かにこの時代にも売れてるモノは多いが、この2つは納得がいかない。
●No.203/01.8.25







「電子
 チケット 。」

朝日新聞本日夕刊で、コンサート入場の権利を2次元バーコードに換え携帯電話・PDA端末で受信するシステムを紹介。買い漁りを防ぎ、行きたい人にチケットを公平に送るメリットが。消えていく人間の“皮膚感覚”が人間性そのものに影響しなければいいと危惧する。
●No.202/01.8.24






「こんな
 料理は筋が  
 通らない 。」

日本経済新聞本日朝刊・私の履歴書。新館料理長時代の村上信夫元帝国ホテル料理長が、肉と魚介類を組み合わせたメニューを考案した際に古参の料理人に言われた言葉を紹介している。いつの世も抵抗勢力はあるのだ。筋論を唱え始めたら、自分自身に要注意かもしれぬ。
●No.201/01.8.22







「ありが
 とう。  
 すっごく  
 嬉しい。」

コマーシャル・フォト9月号に木村伊兵衛写真賞を同時受賞したHIROMIX・長島有里枝・蜷川実花の対談。これは「尊敬してる」HIROMIXに「私も二人のことすごく尊敬している」と言われた蜷川の言葉。淡々と語り合う中に互いを認め合う心が清々しかった。
●No.200/01.8.21







「競馬で
 儲けるには  
 どうしたら  
 いいで  
 しょうか 。」

本日発売のサンデー毎日で井崎脩五郎氏が15年前、たった2人の前で行ったトークショーの思い出を述べている。その2人とは先頃亡くなった“ミスター競馬”野平祐二夫妻。この質問は詰まった井崎氏に出した野平氏の助け船だ。私が覚えた最初の騎手の名も氏である。
●No.199/01.8.20







「生身の
 人間は  
 情夫(婦)
 にしか  
 ならない 。」

今朝の素顔に出演の美輪明宏の言葉。この人の場合、相手が情夫か情婦かは迷うところだが「芸術と結婚したから」という、その理由が凄い。「どこへでも出かけるから、世の中の流れが分かる」と言いつつ、日本の行く末に明るい予兆を見出してくれると少しは安心する。
●No.198/01.8.18







「刺青、  
 サンダル  
 履き
 OK!!」

と書かれたサウナのタオルが家に干してあって驚いたら「サウナニューオクダ」で、奥田民生のノベルティらしい。ほんと、わざとしょぼく上手にデザインされているのだが、聞くところによると奥田氏の関連グッズのデザインセンスのよさは評判らしい。他も見てみたい。
●No.197/01.8.17







「自分を
 信頼し、  
 それゆえに  
 孤独を  
 恐れず、」

むしろ孤独を愛し、ぼくのような年下の人間にこのように尊敬されながら静かにひっそりと暮らすことができるような人間に、そんな大人にぼくもなりたい、もし出来ることならば! 朝日新聞本日夕刊の山田洋次氏のこのエッセイをぜひ読んでほしい。私も含め大人たちに。
●No.196/01.8.16







「戦没者  
 310
 万人。」

朝日新聞本日夕刊も終戦記念日の模様を伝えた。戦没者310万人という数字の痛みを私は想像すらできない。先日のニュース23の従軍経験者の発言も生々しかった。日本の右傾化を指摘する声は死線を乗り越えた者から発せられるほど重い。私の父の想いも同じである
●No.195/01.8.15







「若年性  
 健忘症。」

本日の日本経済新聞夕刊に「若者のもの忘れ急増中」の見出し。生身の人間と話す機会が減少し、表情や顔色から判断しようとする脳機能が働かず、計算は電卓がやり、漢字変換で漢字を覚える必要もなくなった現代社会に原因とある。「関係ない」から覚えない、も怖い。
●No.194/01.8.14







「銀メダルは  
 シブの  
 おかげ。」

世界陸上・女子マラソン銀メダルの土佐礼子の言葉(朝日新聞本日夕刊)。シブとは同4位の三井海上の同僚・渋井陽子を指す。一般的に頂点を巡る2人が同じ組織にいる場合、うまくいくのは“太陽と月”の組合せだ。ベンチャー企業の社長・副社長の関係も同様である。
●No.193/01.8.13







「セン
 クラ。」

という中吊りの見出しが気になって買った「ゲイナー」(9月号)。「SENZA CRAVATTE」の略で「“イタリア式ノータイ”という新しいスタイル提案で上陸し、今やすっかり定着」とあるが周囲は誰も知らない。第2ボタンまで開ける、というのも気持ち悪い。
●No.192/01.8.11






「村上
 レシピ。」

書店でこのタイトルを目にした時、やられたと思った。村上春樹の小説に出てくる料理のレシピ。これまで出版されなかったのが不思議なほどだ。TVピープルのポテトサラダや回転木馬のデッドヒートのレタスとキュウリのサラダなど「サラダ」は続編でやるのだろうか。
●No.191/01.8.10







「ステージは  
 母と出会う
 場所。」

今夜のトゥナイト2は公開ストリッパー審査で優勝した女性の密着取材。父を知らずストリッパーの母も19歳で失った彼女は、星野愛裸の名で出たデビューステージ中に母の想い出が突然脳裏に巡る体験をし初めて自らの居場所を見つける。自分探しは雑誌じゃできない。
●No.190/01.8.9







「今日が最後  
 でも
 かまわない  
 という
 覚悟。」

日本経済新聞本日夕刊に大リーグの審判を目指す日本人青年の言葉。1Aの1年契約で、いつ解雇されるか分からない身分だという。メジャーに昇格する確率は1%もない。奇しくもこの記事の右には「転職支援市場広がる」の見出し。失業率は5%前後の水準で推移する。
●No.189/01.8.8






「日本人の  
 劣化。」

この魅力的なタイトルを見て買った週刊朝日(8/17・24号)に失望。考えてみよ、日本人の劣化がたった5頁で語りきれるわけがない。しかも3頁は新宿歌舞伎町の生態ときた。トゥナイトじゃないんだから。どこが“徹底考察”だ。同誌こそ劣化を防ぐべきである。
●No.188/01.8.7







「現在生きて  
 いる。
 それが  
 すべて。」

今夜のNHKスペシャルは被爆地を離れて生きる被爆者の人生を綴った。この言葉は、かつて無理心中を図った母の告白に対する息子のもの。「ザクロのようになった」妻の顔を見て子供を連れ去った夫といい哀しすぎる記憶ばかり。「戦犯」の意味を見失うべきではない。
●No.188/01.8.6







「根張り。」
本日のなんでも鑑定団(再)で盆栽の鑑定を担当した専門家の言葉。「ねばり」に調和に健康状態で価値が決まるなんて、人間と同じじゃないか。そして、いまの日本人が失いつつある資質ばかりじゃないか。それとも、盆栽は安住志向と決めつけ機動力を求めるとするか。
●No.187/01.8.5







「人間のこと  
 何ひとつ  
 して  
 こなかった
 。」

本日のホリデーインタビューは詩人・石垣りん。この言葉を私は“結婚も出産も子育ても親孝行もしてこなかった”として聞いたが、事実関係は知らない。「詩集も4冊しか出してないから恥ずかしい」とも。これは見苦しい謙遜ではない。心底、謙虚な姿勢に心が動いた。
●No.186/01.8.4






「人体への  
 影響少なく  
 ない。」

今夜のニュースJAPANは厚生労働省によるノニルフェノールの環境ホルモン認定を紹介。「影響が少なくない」とは、いつもながら不安を抱かせる言葉遣いだ。電磁波や70種の環境ホルモンをはじめ、我々は壮大な人体実験の実験動物としての役目を負わされている。
●No.185/8.3







「連れてくる  
 部下。」

ブルータス(8/15号)で出井伸之ソニー会長は、初対面のビジネスの相手、一番最初にどこを見ますか? という問いにこう答えている。言い得て妙。何故か自分に言われた気がした。しかし、あのブルータスまでもが会社を特集のテーマに。揺れる日本企業を象徴する。
●No.184/8.2







「とくしゅう
 。」

再びキューティ(7/30+8/13)から。本誌では「特集」も「活躍」も「小物」も「開催」も、みんな平仮名にしてしまう。いくら若いコ向けといったって、ここまで意識して漢字文化を蔑ろにせずともいいじゃないか。次は「豊富」と「縦断」も平仮名にしてくれ。
●No.183/01.8.1

※昨日の「魁」の使用について、「『魁!!男塾』という漫画の影響ではないか」とするメールを頂戴しました。ありがとうございました。

 

※川中紀行のブログ「いいコトバ」もぜひご覧ください。

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