2001年4月分

「親から
 子へ
 子から
 孫へ。」

本日放送、京都・嵯峨野・うつりゆく四季の美(再)で、五山の送り火の一つ京都市右京区・曼陀羅山の鳥居形の火を準備する人々を紹介。「嫌だと思ったことはない。先祖から伝わった物だから」と語る姿に、親から子へ、子から孫へ伝わる諸文化の滅びぬことを、願う。
●No.130/01.4.30







「私たちは
 日本を
 知らない
 。」

日本経済新聞本日朝刊の五木寛之氏の言葉。寺内町、隠れ・隠し念仏、逃散。氏が語る“生死の営みをくり返してきた現場”の日本人の姿を確かに私は知らない。テレビはグルメと温泉しか日本を紹介せず、教える歴史さえ少なくなるばかり。自らも含め、如何にすべきか。
●No.129/01.4.29







「民酒党。」
東京・新橋駅前に居酒屋「民酒党」を開店し民主党幹部が応対するという鳩山党首の言を朝日新聞本日朝刊で紹介。自民党総裁選によるメディア独占と小泉人気で薄くなった影を心配していたが、いっそ“居酒屋からの視点”を党のコンセプトにしたらどうかと真剣に思う。
●No.128/01.4.28







「改変。」
朝日新聞本日夕刊にタキトゥスの「民衆というものはいつも改変を待ち望みながら、しかもそれを恐れているのだ」なる言。報道方針によるが、例えば田中外務大臣への官僚の反応に意外に改革への期待が目立った。崖っぷちで日本も正気を取り戻してくれるといいのだが。
●No.127/01.4.27







「新人
 くん。」

今日、山手線車中で聞いた言葉。もちろん研修を終え配属された新入社員を指すのだが「やれやれ、また一から教えなくては」の嫌悪感が滲む。いずれにしろ、共にチームを組み戦わねばならぬ新入社員に対し、かくの如き物言いをすること自体、底が知れるというものだ。
●No.126/01.4.26







「NG層。」
無節操な新語がマーケティングの混迷を表しているが、これは「Will」ブランドの説明文中にあった用語。「情報ネットワーク社会の中で能動的な情報選択を行い、自分なりのこだわりを大切にする傾向を持つ層」。単に昔から言われていた一般的消費者像に過ぎない。
●No.125/01.4.25







「国会が
 第一。」

そう言って、後援会の会合参加者と握手もせず引き上げるという。朝日新聞本日夕刊に載った小泉純一郎新総裁の逸話だ。中選挙区当時、川崎市在住だった私も彼に投票した。二世議員であることに変わりないが、永田町の常識にとらわれぬこのキャラクターに期待したい。
●No.124/01.4.24







「花
 バイキング
 。」

自宅近くの花屋の店先で見つけた店頭POP。1本100円で好きな花を取っていいようだが、なんとなく幸せになるネーミングだ。五反田・目黒川河畔の八重桜も20日の夜、闇の中にひらひらと花弁を散らせていた。春から初夏へ、美しい日本の季節の絵巻物はつづく。
●No.123/01.4.23







「1時間以上
 敬礼した
 まま
 動かない
 。」

朝日新聞本日朝刊に、戦場で半身を失いながらロス・ワシントン間を腕だけで横断した元ベトナム戦争兵士の記事。 私は無論、戦争礼賛者ではないが、路上で彼の姿を見かけ1時間以上敬礼したまま動かなかった若き兵士の心情を、さまざまな角度から思って胸熱くなった。
●No.122/01.4.22







「この年に
 なると
 煩悩も
 使い切っ
 ちゃってさ
 。」

昨日の朝日新聞夕刊に2日他界した国文学者・輝峻康隆氏の言葉。俳句をたしなみ西鶴を論じたが、私にとっては落語評論の大家。ふた昔前、国立演芸場オープンの際にお見かけし、勝手に写真を撮って睨まれた記憶がある。人間こんな境地になれるのは幸せか、果たして。
●No.121/01.4.20







「たとえ
 牢獄の
 中で
 あっても
 徳は積める
 。」

昨日の日本経済新聞夕刊は、ダライ・ラマのこの言葉を引用しつつ、待つことが苦手になった現代人に待ち時間の有効活用を問う。たとえ電車の中であってもコピーは考えられる。私は常に小型手帳をポケットに入れ、企画書でも何でも場所を選ばず書き留める習慣を持つ。
●No.120/01.4.18







「腑に
 落ちる。」

広告批評4月号52ページ、作家川上弘美との対談で編集部の一人が「いまのお話はとても腑に落ちますね」と発言している。少なくとも従来の日本語にはない表現だ。言葉に関わる編集者にしてこの体たらく。言葉に対する繊細さが消えていく現状は、私は腑に落ちない。
●No.119/01.4.15







「やめろと
 言うまで
 自国の
 文化を
 しゃべる
 。」

仕事で出会った浄土宗の僧侶が「中国・韓国の若者は、自国の文化について話すように言うと、やめろと言うまでしゃべり続ける。だが日本の若者は5分ともたず要領も得ない」と言う。自民党の政治家達が日本に残したものは、金銭にまみれた汚職の傷跡だけでは、ない。
●No.118/01.4.13







「読み、
 書き、
 算盤。」

昨日発売の噂の真相で、永六輔氏の週刊文春における「読み、書き、算盤を徹底すべき」なる主張を非難している。しかしその根拠をIT革命に置き、伝統を軽んじているのは考えが浅い。読解力・文章力の衰退は想像力の衰退そのものであり算盤の消失で失った価値もある。
●No.117/01.4.11







「アグネス
 タキオン
 。」

早くも史上最強の名馬との評。タキオンとは「光より速いとされる仮説的素粒子」の意。名前までもが伝説的だ。父は史上最強種牡馬サンデーサイレンス、母も桜花賞馬アグネスフローラ。15日、クラシックレース一冠目に挑むが時計的にここまで騒がれた馬はかつてない。
●No.116/01.4.10







「計算は
 ロボットに
 やらせる
 。」

だから、小学生レベルの算数を大学生が解けなくてもいいのだそうだ。昨夜のディベート(衛星第1)での炭谷俊樹氏の物言いに呆れた。やれ「これからは企画力が必要」だの「いい大学がいい会社と結びつかなくなった」だの、言うこと全てがステレオタイプ。情けない。
●No.115/01.4.9







「血液
 サラサラ
 。」

週刊女性(4/17号)はこのタイトルで玉ねぎを扱う。テレビの情報番組でもよく使われる言葉で、玉ねぎと鯖が双璧らしい。毛細血管を拡張する硫化アリルを含む玉ねぎと、血液中のコレステロールや中性脂肪を減らし血液を浄化するDHAやEPAを含む鯖。健康ブームは不滅。
●No.114/01.4.6







「モノとして
 しか
 見ない。」

馴染みの居酒屋のご主人の言葉。ランチタイムに来るOLで、席に着いた途端、注文もせずメールを始める者がいるが、客でなく物として扱い無視するという。先日のテレビは携帯電話をなくして孤独の淵に落ちる若者を映していた。誰が何と言おうと、既に神経症の領域だ。
●No.113/01.4.4







「忍耐
 しながら
 楽しみ
 ながら。」

日本経済新聞本日朝刊は江本川崎製鉄社長の訓示を紹介。オリンピック選手が言っても違和感があるのに、新入社員にいきなり「楽しみながら」なんて言っている時代ではないと思う。一握りの逸材を除けば、楽しむ前に皆、辛さを味わうであろうし、味わうべきだと思う。
●No.112/01.4.3







「私に
 とっては
 関係ない
 。」

朝日新聞本日夕刊でバレリーナ・森下洋子氏のラジオでの談話を紹介。「40代で世界的に皆、やめちゃうんです。もったいないと思う。(老いは)私にとっては関係ない。」世間で言う限界に対しこう言い切れる氏の自信に素直に感服した。1年の内364 日は練習するという。
●No.111/01.4.2
※川中紀行のブログ「いいコトバ」もぜひご覧ください。

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