2004年2月分

「非行少年の
 脳波には
 未熟ないし
 異常な
 所見が
 多い。」

と、自著「子どもの脳が危ない」で精神鑑定医の福島章氏。特定の物質や体験に影響を受けやすい“臨界期”に不妊治療や環境ホルモン等の作用を受け、脳障害が原因で友人関係に問題が生じ異常をさらに助長する。現代社会そのものが犯罪低年齢化の温床なのだ。ああっ。
●No.1023/04.2.29







「魚は
 勝手に
 腐るが、
 子どもは
 絶対に
 腐らない。
 それは
 誰かに
 腐らされて
 るんだ。
 そういう
 子どもたち
 を救うのが
 教育じゃ
 ないか。」

と、「夜回り先生」の水谷修氏。友人の教師にぶつけた言葉だ。ノンフィクションとして圧倒的に面白い本著で氏は不良少年少女達を徹底して信じ大人社会を糾弾する。確かにいま教育を考える時、避けられぬのが“両親教育”だ。それにしても文章が鋭敏で上手い。推薦!
●No.1022/04.2.28







「繰り返し
 ます。」

いいよ、そんなこと繰り返さなくて。今朝のオウム真理教・松本智津夫被告公判の模様を代わる代わる伝える報道記者の慌てぶりと言語表現の貧困さに辟易した。「白い歯を見せた」なんて、繰り返すほど重要なことか?安易な繰り返し映像のお陰で言葉まで醜悪になった。
●No.1021/04.2.27







「コミュ
 ニケー
 ション
 というのは
 私達が着て
 いる着物と
 本来同じ
 だと思って
 います。
 (中略)
 自分はこう
 だという
 ことを他の
 人に伝える
 ための
 道具に
 なって
 いる。」

と福原義春・資生堂名誉会長(『日経広告手帖』2月号)。氏の論によると安易なブランド信仰や似通ったファッションスタイルが目立つ日本人にとって服は自己主張の道具ではない。しかし私もそう思う。ジーンズにTシャツの装いやユニクロが嫌いなのはそれが理由だ。
●No.1020/04.2.26







「多様性。」
という言葉が生徒に通じなかったと某語学専門学校(3日間連続取材中)教師。私も10代向け販促ツールでは言葉の選択に迷う。「“ストリートが教室になる”という比喩はもう通じない」とあるコピーライターが言ったのは7年前。日本語の能力はさらに低下している。
●No.1019/04.2.25







「フランス人
 は、居眠り
 しない。」

長期フランス留学から帰国して改めて驚いたのが、車内における日本人の大胆な居眠りだったと、某語学専門学校の教師。裏返せばそれだけ安全な国と言えるかもしれぬが、零時前後の田園都市線終点で気持ちよさそうに寝ている人達を見て緊張感のなさを私は毎夜感じる。
●No.1018/04.2.24







「まわりに
 流されて
 着ている
 人も
 多い。」

と、ファッションを学びに留学するという20歳の若者は言った。おざなりのジーンズファッションに個性欠落を思う私は、女性達の過度のジーンズ信仰を取材ついでに彼に問うてみた。「ラクだから」も理由だろうが“Gパンにシャツ1枚でお洒落”は万人に通用しない。
●No.1017/04.2.23







「(米国に
 対し)自立
 自尊の
 関係を
 いかに
 つくって
 いくか
 を考える
 べき。」

と寺島実郎・日本総合研究所理事長(本日の『サンデープロジェクト』)。いつも顔を震わせ話す岡崎久彦氏の「400年間勝ち続けているアングロサクソンに従っていけばいい」にも閉口だが、(私も含め)個人に自己主張の文化が育たぬ日本の自立が難しい事は確かだ。
●No.1016/04.2.22







「あっては
 ならない
 こと。
 信じ
 られない
 こと。」

と凶悪事件にコメントするテレビ人を古舘伊知郎氏が批判(本日の『毎日新聞』夕刊)。本欄で私も指摘しているが、通り魔殺人や少年による殺人事件に対しこのように“立派な人”の立場からコメントする方々は、社会を見ていないか保身のためのどちらかだと断言する。
●No.1015/04.2.21







「皆さま
 ご協力
 頂いており
 ます。」

携帯電話の通話マナーを呼びかけ、こう念を押したのは深夜のJR山手線車内放送。みんなメールしてたけど、それは「通話」じゃないの? 最近、田園都市線は終点で「車内マナーにご協力頂きありがとうございました」と言う。喧嘩が起きなきゃマナーが悪くてもいいの?
●No.1014/04.2.20







「ショモ
 ランマ。」

都内で知る人ぞ知る「ル・パティシエ・タカギ」で昨日、妻が買ったケーキの名。単なるモンプランなのだが、同じ山名のチョモランマに底がチョコなのでショコラを掛けたのか興味深いが真相不明。「丁寧に作ってある」とはケーキ通の妻の評価。面白いケーキ名募集中。
●No.1013/04.2.19

※No.540/02.11.4で取り上げた「ナンタケットバスケット」に情報提供頂きました。ナンタケット島のある米国・マサチューセッツ州の方からです。本当にありがとうございました。






「投票に
 行かずに
 カゲで
 文句ばかり
 言っても
 しょうが
 ない。」

と小沢一郎・民主党代表代行(本日の『日本経済新聞』朝刊)。忌憚のない意見をもっと国民に言ってほしい。だって反戦デモ参加者にも世論調査で反小泉の意見を述べる人にも、昨年の総選挙で投票していない人はいるはずなのだから。今年も投票で日本を動かせるのに。
●No.1012/04.2.18







「開発は
 先の
 見えない
 夜行列車。
 度胸を
 持って
 走り続け
 なさい。」

1949年、国産の自動車は無理と言われた時代。クラウンを誕生させトヨタ自動車を救った叩き上げの現場主任・中村健也氏の言葉(本日の『プロジェクトX』)。人を励ます力がある。しかも氏はその後も33年間研究を続けハイブリッドカーも開発したという。敬服。
●No.1011/04.2.17







「たなぼた
 ごはん。」

と守りの演技で15日のW杯モーグル入賞を手にした上村愛子選手。もちろん彼女はウインタースポーツの女子選手としては可愛いし、いいエアの演技をすれば文句はないわけだが、こうあっけらかんと間違った日本語を話されると興ざめとしか言い様がない失望を感じる。
●No.1010/04.2.16







「オマーン
 戦に負け
 たら終わり
 なのです
 と言って
 いるのに、
 オマーン
 戦は非常に
 重要としか
 訳されない
 かも
 しれない
 から。」

と欧州のクラブと直接、選手招集を交渉した田嶋幸三・日本サッカー協会技術委員長(本日の『日本経済新聞』朝刊)。コミュニケーションの本質を衝いた感想だ。世の中の誤解のいかに多くがこのレベルで起きているか。これほど繊細な言葉を、弄ぶ小泉議員に私は憤る。
●No.1009/04.2.15







「協力して
 くれた
 同盟国には
 報いるのが
 ブッシュ
 政権の
 やり方だ
 。」

とD・プリースト・ワシントンポスト記者(『毎日新聞』本日朝刊)。だから米国追従は仕方ないと言う小泉議員の本音が聞こえそうだ。しかし、そのために不正義を認めるのなら、日本には裏金や談合など私益のための行為の全てを批判する資格がなくなる。日本、墜落!
●No.1008/04.2.14







「藤原
 さん。」

とは「あゆみブックス」五反田店の女性スタッフの名。当社はここに定期購読誌を頼んでいるが、彼女は私の入店時に当日の雑誌を確認しレジに立った時には揃えている。接客業に不可欠な画像認識力と笑顔と機敏な応対は、初めて出会った書店員と言ってよい資質である。
●No.1007/04.2.13







「ゆとり
 教育。」

はどこへ行くのか? 幼稚園から高学歴を目指す狂気の親達を野晒しに、一方で従来の学力の価値を過小評価したこの教育。いま「ゆとり教育から個性浪費社会へ」を読む。荒んだ世の中の元凶の一つは間違いなく文科省にある。寺脇研を葬り去れない日本の底知れぬ暢気さ。
●No.1006/04.2.12







「昔は第1の
 サダムが
 いた。
 今は第2の
 サダムが
 いる。」

とバグダッドの一市民(本日の『スーパーモーニング』)。鳥越俊太郎氏による本格的イラク取材が圧巻だった。“第2のサダム”とはもちろん米軍。フセイン政権時代より治安は悪化し報道規制も行われる。そして多数の市民の犠牲。あれでよかったと、言える訳がない。
●No.1005/04.2.11







「家の中を
 きれいに
 して
 くだ
 さい。
 潔癖では
 なく、雑然
 ではなく
 きれいに。
 そして
 温かい
 ご飯を食べ
 させて、
 一日五回で
 いいから
 ほめて
 やって
 ください。
 それだけで
 違う。」

東京・渋谷「センター街」を毎晩10時過ぎに歩き中高生に帰宅を促す活動をしている水谷修教諭が、子供の非行を防ぐ策として答えた言葉(『潮』3月号)。犯罪の低年齢化はやはり、子供達が何を食べ何を言われているかを質さない限り歯止めがかからないと確信する。
●No.1004/04.2.10







「スロー
 フード
 マニ
 フェスト
 。」

なる宣言を「ソトコト」3月号で掲載。しかし依然としてスローフードの概念は曖昧。地元の食品をゆっくり時間をかけて食べたいのは分かる。しかし(恐らく高い)食費は、食糧不足問題はどうするのか?それらをレストランで食べるのは所詮単なるグルメではないのか?
●No.1003/04.2.9







「例えば
 ハルウララ
 人気。
 競馬は
 勝ち馬に
 賭けて
 こそ意味が
 ある。何故
 負け馬に
 賭ける
 のか?
 一攫千金
 よりもっと
 大事な
 ことが、
 人々の心に
 住み着いた
 からだ。」

一見尤もらしい安部雍子・くれいん館社長の分析(『宣伝会議』3月号)だが、競馬を知らずに現象だけで安直に時代を語っておりマーケティングのいい加減さを露見させている。名馬の引退レースなど、勝負を度外視して馬券を買うのは昔からの競馬ファン心理だからだ。
●No.1002/04.2.8







「Saka-
 moto
 。」

なるフレンチで何度目かのディナー。地元大和市役所向かいの埃まみれの道沿いにあるがグルメサイト各評で絶賛。フォアグラのテリーヌ、レンズ豆のポタージュ鱈の白子乗せなど正に未知の味。「東京のレストランとは次元が違う」とグルメの方が絶賛していたと伝える。
●No.1001/04.2.7







「一千一秒
 物語。」

なる故稲垣足穂氏の短編集を奈央ちゃんが読んでいたので借りて少し読む。いわゆるショートショートだが、いきなり並ぶ月や星が題材の非現実的な物語が秀逸。昨日、薄暮の空に一番星を探した。そんな時間をもっと増やしたい。今日の気になる言葉123、本日1千回。
●No.1000/04.2.6







「ひらがなの
 自治体名は
 その地域の
 特殊性を
 平板化
 する。」

と仲畑貴志氏(本日の『朝日新聞』夕刊)。全くその通り! 底流に地方分権で各市町村が税収を高めるため個性を競わねばならない状況がある。だけど人は市町村名で動くか?「さいたま市」の不評を知らないとは言わせない。みんな寄ってたかって日本をぶち壊している。
●No.999/04.2.5







「トーキョー
 リンカイ
 コウソク
 テツドウ
 ライン。」

東京の「東京臨海高速鉄道線」を英語で案内するJR山手線車内放送。今日、リンカイのRの発音に苦笑していた人がいた。声もオーバー気味で確かにおかしいのだが、英語はそもそもオーバーな言語のだ。お笑いネタにもなるが、英語を笑うコントは遅れているのである。
●No.998/04.2.4







「独立調査
 委員会。」

なるイラクの大量破壊兵器の存在を究明する新たな組織を米国が設置する意向とか(本日の『朝日新聞』朝刊)。サマワの調査も、日本人外交官殺害事件や中国・瀋陽の日本総領事館事件調査も、とかく国の調査ほど当てにならぬものはない。日本の調査は結果すら出ない。
●No.997/04.2.3







「役職間で
 入れ替え
 制。」

って、大学スポーツの1部・2部リーグ戦じゃないんだから。「過去2年分の業績・成果と人材委員長による将来性を勘案して入れ替え者を選ぶ」とアイフル(本日の『日本経済新聞』朝刊)。成果主義の一つの反映だけど、従業員ってそんな組織を望んでいるのだろうか。
●No.996/04.2.2







「徹子の
 部屋展を
 アトリウム
 に開催して
 おります
 。」

私はこの番組の放送28周年に水を差すつもりは毛頭ないが、本日の「徹子の部屋28年拡大版」における展示案内の無神経ぶりが許せなかった。「アトリウムにて」か「で」と言うべきだが、最近のアナウンサーは読み間違いしようが発音ミスしようが決して訂正しない。
●No.995/04.2.1
※川中紀行のブログ「いいコトバ」もぜひご覧ください。

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