2001年7月分

「魁。」
キューティ(7/30+8/13)に「魁!!キューティ ダイエット道場」の題。読者モデルを見るまでもなく20歳前後の女の子対象の雑誌だが、私が10代の頃を思い出してもこんな言葉は見なかった気がする。漢字のTシャツが好きな外国人の感覚に近いのだろうか。
●No.182/01.7.31







「アメ横も、  
 つぶれてる
 。」

本日、取材に伺った東京・御徒町にある某店の社長の言葉。とにかく「モノを買わなくなっている」という。魚屋も閉店しているという。昨日までいた店長が雲隠れして残ったアルバイトが途方に暮れてる店があるという。昼の時点で株価は下落している。何と言う、小泉。
●No.181/7.30







「個人の
 判断で。」

バラエティ番組を含めても恐らく本日のテレビ番組で最も醜い場面だったろう。小泉首相の靖国神社参拝が外交問題化した時の対応を尋ねられた時の青木参院幹事長の薄笑いを浮かべながらの弁。気持ち悪くなった。こんな人間が実力者でいる自民党になぜ国民は投票した。
●No.180/01.7.29







「メディシン
 マン。」

今夜のBS・心の旅(再)はネイティブアメリカンを取材。この言葉は砂絵を用いて悩みを解き明かす一種の呪術師の意で、レポーター役の精神科医は「自分の専門の箱庭療法と似ている。」心の病は現代社会でこそ顕著と思っていたが、それすらも回帰現象なのだろうか。
●No.179/7.28







「メール
 始めた。」
テレビの芸能人同士の会話で「最近、メール始めたの」なんて言葉をよく耳にするが、そろそろ恥ずかしい領域に入ってきた。PC・携帯合計のインターネット人口が5千万人を超えようという時代に、さも先端を行くが如き物言い。哀しいかな、あの人たちは気づかない。
●No.178/01.7.26







「哀しくない
 のに、  
 泣けたり
 する。  
 嬉しくない
 のに、  
 笑える。」

フラウ(8/14号)での、ともさかりえの言葉。女優なら本望とも思えるこの自分の状況に、しかし彼女は苦悩する。「心底役になりきる」意味を映画「クロエ」で悟った彼女は、「誤魔化し方ばかり」だった演技を省みる。少なくとも“感性で演じる”対極にある人だ。
●No.177/01.7.25







「ハンディ  
 キャップ・  
 ビレッジ
 。」

昨日発売のサンデー毎日は、地雷による犠牲者が多いためそう名付けられたカンボジアのプン・ピカーン村を取材。8月15日を前に戦争特集も多いが防衛問題だけは社民党に味方したくなる。私は、ミサイルに撃たれたらあきらめる。上陸されたら家族を守るために戦う。
●No.176/01.7.24







「メール族  
 むしろ  
 筆まめに
 。」

日本経済新聞本日朝刊はこう題して10〜20代の“手書き”の復権を綴る。漢字検定受験者の7割が中・高・大学生、全国の高校生の35%が日記を書き、「日本一短い手紙」の10〜20代の応募比率7割、私信も確実に増加という現実。うれしいけど、中身が問題だ。
●No.175/7.22







「うまい、  
 おいしい 。」

日本経済新聞本日夕刊で男言葉「うまい」に対する女言葉「おいしい」の起源を解説。性による言葉の区別は女性従属の歴史が原因という。広告で「うまい」は牛丼だが高級料亭には用いない。女性の「うまい」はOKだが「おいしい」を使える繊細さも失ってほしくない。
●No.174/7.21







「楽しみに  
 している 。」

朝日新聞本日朝刊に「日本の安全保障への取り組みを楽しみにしている」とのパウエル米国務長官談。「Look forward to」等、本当に「楽しみに」に近い英語だったか知りたい。昨今、内容の軽重に関係なく「楽しみ」が不適切に使われ過ぎると感じるからだ。
●No.173/01.7.20






「大至急!」
「大至急、電話ください!」という用件の大半は大至急ではない。仮に本当に大至急の場合も私はこの言葉を使わない。傍若無人な感じで、余計なストレスをかける言葉だからである。「この電話を聞かれたらすぐにお電話いただけるようお伝えください。」同じではない。
●No.172/7.19





「見直す。」
本日のサンデープロジェクトで小泉首相の「見直す」なる言葉が論議される。従来の政治用語で「見直す」は「見直すが変えない」を意味していたが、“小泉マジック”はこの言葉を日常に引き戻した。しかしそれは、あくまで参院選挙を前にした今日の時点での話である。
●No.171/7.15







「しがない  
 作曲家。」

本日のミュージックフェアはアリス。この言葉は“詩が先にないと曲が作れない”という意の堀内孝雄の駄洒落。今年、再結成した彼らの曲の世界に浸りながら、同時に彼らの友情を思った。いつの間にか「最近の歌といったら」なんて、中年そのままの感想を抱きながら。
●No.170/01.7.14







「5本くらい  
 がぶ飲み
 して、  
 それでも
 飲みたいと  
 思うか。」

を取扱いの基準にしている、という某スーパーのバイヤーによる新飲料の価値判断を日経広告手帖「増刊」で紹介。「メーカーの調査は1杯しか飲まないから、おいしく感じて当たり前」とは厳しい。あらゆる面で旧来の常識が崩れつつある。いよいよ誤魔化しはきかない。
●No.169/01.7.13







「人は準備が  
 できた時に  
 チャンスが  
 やって来る
 。」

昨夜の新・真夜中の王国での女優・秋吉久美子の言葉。受け売りとしても、秋吉の常識の枠から外れたパーソナリティが醸し出す表現が新鮮で好きだ。これが女子アナなら、取って付けたように陳腐な哲学的言い回しか、難しいと自らの理解力のなさを逆手にとるしかない。
●No.168/01.7.12







「競争か  
 結果の
 平等か。」

朝日新聞本日朝刊は貧富の差が広がりつつある日本社会に苦言。しかし、この記事の価値観は100%“お金”に縛られている。私とてもちろん売上の拡大は目指すが、心の幸福を考えた時、報酬は決して正比例し得ない。競争で、いいじゃないか。貧が負けとは限らない。
●No.167/01.7.11







「痛み。」
朝日新聞本日夕刊で小泉首相の「痛み」なる言葉を分析。痛みは建設業者等にとって今後、死活問題となろうし、広く景気停滞と解釈するなら私自身の問題となる。もう一つ、「改革」の中身も「財政」と「構造」で整理されていない。TV番組の切り口にもイライラする。
●No.166/01.7.10







「生きて
 いると  
 いうのは  
 後悔の
 タネを  
 増やすよう
 なことだな
 。」

と、本日発売のサンデー毎日で中野翠氏が言う。氏の書いたガンがテーマの洋画の評論に対し、ガンに冒された編集者から批判があったが、何の応答もせぬ内にその編集者が死を迎えてしまった話を引用しつつ、悔やむ自分の気持ちを綴る。私もこの言葉に全く同感である。
●No.165/01.7.9







「想像力が  
 ない。」

本日の瀬戸内寂聴人生相談で、親がよかれと思ってやることがなぜ悪いのかという問いに氏は、こう語ったうえで「本当に何を欲しているのかを分からないままスカタンやってる」と説く。想像力の欠如こそ、道徳はもとより政治・経済に至る日本社会の深刻な問題である。
●No.164/01.7.8







「モスクワ
 でも  
 新宿でも  
 それは同じ  
 だった。」

日本経済新聞本日朝刊・交遊抄で原卓也元東京外語大学長が江川卓氏の死を語る。この言葉には同じロシア文学に賭けた両氏の交遊が伝わる。「彼と飲む機会が人生になくなってしまったなど、とても信じられるものではない。」死は命が重いからこそ、なおさら呆気ない。
●No.163/01.7.7







「イチロー  
 130安打 。」

4日のレンジャーズ戦に先発出場したイチローは5打数1安打2三振。しかし、本日発売の夕刊紙2誌の見出しが違った。ゲンダイ「イチロー1安打」に対し、フジは「イチロー最速130安打」。後者の売れ行きが優ることはほぼ間違いない。広告の身近なお手本である。
●No.162/01.7.5







「おとな
 たちの   
 力量が  
 試される 。」

朝日新聞本日夕刊で作家・向井承子氏は自らの戦争体験に触れつつ「焼け焦げた小さな草の芽を再生してくれたのは、人の渦だった」と述べる。おとなたちの言葉に、死と隣り合わせの記憶は癒された。PTSDで何でもくくる風潮は悲しいし、氏のおとなへの警告は深い。
●No.161/01.7.3

 

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