2002年5月分

「お客様と
 接する場に
 プロが
 いない 。」

先日、ソムリエの田崎真也氏に取材した。この言葉は、経験を積んだ者がトラブル処理に回り、入社したばかりの人間にいきなりお客様のご注文を任せる日本の(特にホテルの)システムを言ったもの。ヨーロッパで見習いはお客様を遠くで見つめながら修行を積むという。
●No.383/02.5.31







「脇役俳優
 という
 言葉はない
  。」

24日死去した伊藤俊人氏を語った三谷幸喜氏の言葉(今朝のめざましテレビ)。「地味だけど、人生っていいなと思わせる映画の主役をしてもらうつもりでした」とかつての東京サンシャインボーイズの同士。くも膜下出血。私も最近、ただの頭痛にも自らの身を案ずる。
●No.382/02.5.27







「ジョブ?」
本日の東急田園都市線車内。中学生らしき少年が友達にこう訊いた。相手が「何? ジブ?」と訊き返すと「大丈夫?」と改めて訊いていた。いま「大丈夫?」まで「ジョブ?」と縮めて使われているのか。ちなみにこの2人、盛んに停車駅の多さに苛立っていた。恐ろしい。
●No.381/02.5.26







「当番弁護士と
 司法通訳の
 態勢を
 整えておく
 よう、声を
 掛けている
  。」

そう、本林徹日本弁護士連合会会長は答えた(日本経済新聞本日朝刊)。ワールドカップ国内会場で逮捕者が出た際の弁護士対応について述べたのだが「声を掛けている」とは掛けただけなのか、手配済みなのか曖昧。弁護士の長にしてこの答え方。日本語も日本人も困る。
●No.380/02.5.21







「物事を
 よくする
 ために、
 間違いを
 正す意志を
 持ち。」

東ティモールの独立式典の模様を観た。これはグスマン大統領の演説中の言葉だが、恐らくいま地球上の元首で彼しか言えない表現だろう。少女が来賓達にささやかな贈り物をする場面に胸熱くなった。形式ではない心からの歓びがその包み紙の鈍い光沢からあふれていた。
●No.379/02.5.20







「デザインが
 泣いている
  。」
本日の課外授業ようこそ先輩は、産業デザイナーの川崎和男氏。携帯電話と包丁に関する自らのデザインアイデアを発表しようとしない子供達に、そう言って怒るシーンが印象的。話したくてたまらないアイデアをどれだけ出せるか? 文章作成という仕事も全く同じである。
●No.378/02.5.19







「3人に3個の
 ボールが
 あったら、
 1個のボール
 を3人で
 取り合う。」

今朝の子供夢質問箱のゲストは都並敏史氏。これは「ドリブルが上手くなりたい」という小学生の女の子への答え。質問する子に合わせた的確で当意即妙の回答ぶりに感心。シャイな子供との会話も上手に個性を引き出していく。伊達にテレビで重宝されている訳ではない。
●No.377/02.5.18







「現代の人間は
 あきれる
 ようなことを
 たくさん
 やって
 しまった。」

「狂食の時代」に改めて人間に対する失望の念と悲観的な未来イメージが広がった。野菜に農薬を染み込ませ、土壌の豊かな微生物を死滅させ、養殖という名の下に魚を薬漬けにする。そして「結末は誰にも分からない。」だから犯罪との因果関係ももちろん証明できない。
●No.376/02.5.17







「だった。
 だった。
 だった。」

そんな機関銃みたいな文章を書くな! と小言を言った父・阿川弘之氏のエピソードを披露した阿川佐和子氏(本日のはなまるカフェ)。タイトルの「だった。」は、語尾の重複を指しているのだが、書き始めの頃なのだろう。いちいち言葉にうるさい弘之氏の話に共感した。
●No.375/02.5.16







「People always
 like imported
 things
 better .」

そう言って、自分の作品は米国内より海外にファンが多いと解釈したウディ・アレン(週刊ST/MAY10)。舶来崇拝を日本人の精神構造から説く論理は、日本人お得意の自意識過剰なのかもしれない。そう言えば私の嫌いなユニクロもロンドンではいきなり成功した。
●No.374/02.5.15







「いつもこう
 やって沖縄が
 日本に切り
 捨てられる
  んや。」

車の通行方向がアメリカ式の右から日本式の左へ変わった時、彼女の父はこう言って後、終生、車を運転しなかったという。沖縄の本土復帰30周年を明日に控えた朝日新聞本日夕刊でのライター・知念ウシ氏のコラムである。私には何も言い返す言葉が見つからなかった。
●No.373/02.5.14







「個人保証

 していない
  。」
本日発売のサンデー毎日は何千億円もの借金を債権放棄し生き延びるゼネコンの社長は誰も個人保証していないのに、RCC(整理回収機構)に移管された中小企業の社長は「保証人の友達の土地を売れ」と迫られると述べる。本当にそうだ。私も常に当社の保証人である。
●No.372/02.5.13







「ハリウッドは
 男の街。」

クレア(6月号)は、なぜジュリア・ロバーツの出演料(2千万ドル=約26億円)が騒がれるのか? 男優は遙かに稼いでいる(J・トラボルタの近作は1億5千万ドル)のにとハリウッドの男女賃金格差を紹介。あのM・ストリープでさえ最高4百万ドルとは意外だった。
●No.371/02.5.9







「五反田団。」
なる劇団の公演が今発売中のTokyoWalkerで紹介されていた。知らなかった。早速ホームページを見ると、「五反田探訪」なるコーナーから察して所在地は五反田らしいのだが住所は不明。ついでに「逃げろおんなの人」こまばアゴラ劇場で5/13(月)より。
●No.370/02.5.8







「泥棒。」
に有事相手国を譬えた中谷防衛庁長官。議員達は笑っていたが、この比喩は違う。有事三法案の「有事」には武力攻撃が予測される場合が含まれる。予測不能な泥棒という表現は、結局は有事を規定できぬ自民党議員の無能力を象徴しているのに引き下がっていてはダメだ。
●No.369/02.5.7







「小泉政治
 そのものは
 さほど変化
 したよう
 には思え
 ない。」

と日本経済新聞本日朝刊。確かにアメリカの現役政府高官の論文の如く「第一歩を踏み出したのは重要」だったかもしれぬ。しかし小泉登場前から改革は自民党の課題だった。私はそれより、紛れもない自民党員だった小泉の似非“非自民イメージ”の企みに嫌悪を覚える。
●No.368/02.5.6







「夫を信じず
 世の中で
 何を信じろ
 と言うの
 ですか。」

今夜の利家とまつで、夫の浮気の噂に決然と言い放ったまつの言葉。決して世渡りが上手いタイプとは言えぬ夫・利家の強さも弱さも真正面から見つめ寄り添うまつがいい。愛は最早、時代劇の中にしかないが、我が家のまつは目下、松嶋菜々子演じるまつに挑戦中である。
●No.367/02.5.5







「テレビの
 前では
 政治家は
 逃げられ
 ない。」

と、「正面から質問に答えない小泉さん」を野党が浮き彫りにしメディアと国民が許さないことが必要と枝野民主党政調会長代理(朝日新聞本日朝刊)。その通りだが、“質問するだけのメディア、未だにタレント扱いする国民、議論下手な野党”にそれができるだろうか。
●No.366/02.5.3

 

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