2001年2月分

「茶まん。」
東急ストア中央林間店で「奥さん、茶まん好き?」と聞く販売員あり。尋ねられた初老の婦人は一瞬、茶まんの意味がつかめない。茶饅頭の略だろうが、確かに戸惑うかもしれない。インナー用語や略語を相手の情報レベルに配慮せず用いるのも日頃から戒めねばならない。
●No.88/01.2.28







「宇宙人。」
朝日新聞本日朝刊で西村欣也氏は、理解不能の行動に出る若者に対するマスコミ特有のこの言葉を題材に、メッツ新庄選手を評している。「宇宙人である方がのしかかる重圧から自由でいられる。」彼にはエールを送るが、“宇宙人”と地球人の境目はいまどこにあるのか。
●No.87/01.2.27







「知恵の
 哀しみ。」

昨夜の知ってるつもり!?は開高健。「知らんでもえぇ事を知ったために哀しくなる」という開高の独白が切ない。情報社会を超える情報社会。我々は間違いなく“知らんでもえぇ事”を知ろうとし過ぎている。「朝露の一滴にも天と地が眠っている」も好きな言葉だった。
●No.86/01.2.26







「私が、
 動き
 だす。」

朝日新聞本日朝刊、CHANEL全15段広告のキャッチフレーズ。JALドリームエクスプレスキャンペーンは「ドリーム、動きだす。」を使う。広告の世界は、もう春。MARY QUANTなら「春のカラーが喋りだす。」だ。きっと、「動きだす」の第三弾が生まれる。
●No.85/01.2.23







「思う。
 感じが
 する。」

断定を避ける表現が幅を利かせているが、2つの言い回しが気になる。レポーターは「行きます」でなく「行きたいと思います」と言い、解説者は「〜した方がいい」ではなく「〜した方がいいという感じがする」と言う。私はそこに自信のなさでなくナルシズムを感じる。
●No.84/01.2.22







「やってみる
 勇気。」

またも昨夜のプロジェクトXから書く。「極寒・南極越冬隊の奇跡」後編。越冬観測を直訴した故西堀副隊長の鉄の意志と、部下への配慮に涙した。“若者達は皆輝いていた”なる表現が素直に響く。やる前に諦めずやる勇気をこそ尊ぶ。全国の子供達に見せるべきである。
●No.83/01.2.21







「南極の
 ペンギン
 。」

高倉健の絵本のタイトル。昨夜、中吊り広告で見て気になった。凡人なら少なくとも「南国のペンギン」くらいのタイトルをつけるところだが、実に自然。旅がテーマだから“南極に行き実際にペンギンを見てみましたか?”という疑似現実への風刺かと深読みもしてみた。
●No.82/01.2.20







「WALK-
 ING
 STICK
 。」

IDE´E(青山店)、F.O.B. COOP(相模大野店)で立て続けに高級杖(ウォーキングステッキ)を発見。シルバー市場を視野に入れた新たなブームなのか? しかし「高齢者向け」という考え方は、上昇する平均寿命の中で見直されつつある。「健康だから必要ない」という声も聞く。
●No.81/01.2.19







「あれも
 これもとは
 いかない
 。」

政界の言葉ばかり書きたくないが、福田康夫議員の「限られた時間の中であれもこれもとはいかない」(日本経済新聞本日朝刊)にも呆れた。そんな言い訳が通用すれば世の中楽なものだ。しかも官房長官の発言である。自民党長老には「忙しくて見ていない」発言も多い。
●No.80/01.2.16







「4k。」
昨夜のニュースジャパンは森首相を「KSD・機密費・株価下落・危機管理」の4Kと評した。森だけではない。野中も亀井も青木も発言が全て痴呆症化している。なぜ新聞は攻めない? 筆者は、森首相退陣、小泉新首相誕生、自民党選挙敗北、野党連合内閣誕生と読むがいかに。
●No.79/01.2.15







「職人の
 心意気を
 見せろ。」

56年に戻ってしまえばいいとさえ思った。昨夜のプロジェクトXは南極観測船宗谷が出航するまで。「職人の心意気を見せろ」と無謀な宗谷改修を成功させたドックの人々、“お国の危機”と無償で協力したソニー・ホンダなどの各企業。日本人の質は間違いなくよかった。
●No.78/01.2.14







「ジャパ
 ニーズ
 ドリーム
 。」

11日のサンデープロジェクトに出演した亀井静香政調会長が政策に関して述べたのはこの言葉と「生活構造改革」の二言のみ。しかも後者が“日本人も家を二軒持つとかしないと消費が上がらない”とは恐れ入る。こんな低レベルの議員を糾弾できないマスコミ、哀れなり。
●No.77/01.2.13







「iネッチ
 族。」

日経広告手帖2月号で立澤芳男氏が動きながらiモードから情報摂取する若者について述べている。着メロダウンロードサイトで好きな時に好きな音楽を聴く世代。好きな時に話し、好きな時に飲み、好きな時に聴く。そこに「我慢」はない。それが全ていいとは限らない。
●No.76/01.2.10







「ロシア人は
 愛すべき
 人々。」

日本経済新聞本日朝刊・私の履歴書で松永信雄元駐米大使が「ロシア人は性善良で愛すべき人々である」と述べている。私の父も終戦後までロシアの捕虜としてシベリアの大地に生きたが捕虜への態度は時に友人に接するようであったという。ロシアへの誤解も多分にある。
●No.75/01.2.9







「NGまみれ
 の番組。」

日経エンタテインメント!(3月号)でフジテレビ・千野志麻アナの「チノパン」を企画担当部長自らがこう評している。熟練した語りの技術より稚拙なトークの面白さを狙っているようだが、まずこの局はアナウンス部をアナウンサー部とタレント部に分けるべきである。
●No.74/01.2.8







「いいよ、
 旦那。」

贔屓にしている虎ノ門の時計店に修理に行く。バンド調整を頼んだ先客が代金を支払う際、店主が言った言葉。よき時代の東京っ子の気っ風が伝わる。無料である。部品を2つ交換してもらった私も「古い時計を大切にしてくれてるから」と1つ分の代金でいいと言われた。
●No.73/01.2.7







「立ち
 上がって
 くる。」

広告批評3月号で井上陽水氏が「〜が立ち上がってくる」という言葉を使っている。これが本来の「立ち上がる」の用法なのだ。自動詞と他動詞が混在した「立ち上げる」の誤用は阿川弘之氏が指摘されている通りだが、今や作家を含め誰もが使っている。私は気持ち悪い。
●No.72/01.2.6







「誰もが
 死にます
 。」

アエラ(2.12号)でも瀬戸内寂聴氏の「ここにいる人、誰もが死にます」の言葉が紹介されているが、4日の義理の祖母の通夜で聞いた法話も「人間みな死ぬんです」で始まった。生老病死と仏教で言うが、だからこそ縁は、そして命は大切なのだと僧侶は言い放った。納得。
●No.71/01.2.5







「閉店
 セール。」

今日、青山通り・伊藤忠商事向かいで閉店セール中の鞄屋さんが「どうぞご覧ください」と声をかけてきた。五反田でも「はんこ屋」「肉屋」「文房具屋」「洋品店」と個人商店が次々に閉店している。「お店がどんどんつぶれて、出来るのは居酒屋だけ」とは地元民の声。
●No.70/01.2.2







「粛々と。」
いつも気になる政界用語。新明解国語辞典によれば「(緊張して)静かに行動する様子。」何のことはない議論のない密室政治を自ら宣言しているようなものだ。昨日も施政方針演説関連のインタビューで扇国土交通大臣が使っていた。正道を訴えたいようだが、少し違う。
●No.69/01.2.1
※川中紀行のブログ「いいコトバ」もぜひご覧ください。

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