2002年6月分

「なぜ
 ノースリーブ
  あるんだろ
  。」

本日午前零時過ぎのベラベラステーションで香取君が言った言葉。英語でノースリーブ(袖なし)はsleeveless。英語を話していると確かに日本語英語に戸惑うし、日本語になった英語の発音にも悩まされる。ワンツーフィニッシュとか、金銀独占でいいじゃん。
●No.413/02.6.30







「ホテルマン
 は陰気。」

朝日新聞本日夕刊に仏紙がW杯日韓の対応を6-0で韓国の圧勝と評した記事。物価の高さや競技場の不便さは致し方ないが、この言葉はまたしても日本人の品質低下を指摘する。と思ったら今「恐らくこの試合が韓国のW杯最終戦」と3位決定戦の実況。恐らく? とほほ。
●No.412/02.6.29







「森の石松が
 誰だか
 分からない
  。」

と清水エスパルス所属・サッカー日本代表DFの戸田和幸選手(本日のニュースステーション出演)。清水が本拠地だからと言って森の石松なぞ知らなくてもサッカーはできるが、これが外国の選手だったら、たぶん自国の文化をもっと知っているのではないかと想像する。
●No.411/02.6.28







「紫陽花。」
という文字を最初に用いたのは白楽天と、朝日新聞本日夕刊。ただ「良い香りがする」という表現や記述の時期から実はライラックのことだったらしい。とはいえ、紫は「小さな花が群がり咲く」という意味で正に梅雨の晴れ間に色鮮やかなこの花にふさわしい漢字である。
●No.410/02.6.27







「国債って、
 いいかも。」
これ以上なく安易に藤原紀香を起用し、こんな10秒で浮かぶ暢気なキャッチフレーズを付けて、何を考えているのか財務省もこの広告の制作者も。まさかお笑い路線を狙った訳ではあるまい。チリを、ボツワナを下回る国債格付けA2。この広告は正に恥の上塗りである。
●No.409/02.6.26







「それが
 私たちと
 その子孫に
 何をもたら
  すか、だれ
  にも わから
  ない。」

とは、やっと昨日読み終えた狂食の時代の解説で筑紫哲也氏が述べている言葉。マスコミと役人は正義の味方のように品質表示の徹底を叫ぶが、本当はそんなもの些細なことだ。自然食の一つひとつが、獲れたての魚の一匹一匹が、産直野菜の一把、一把が危ないのである。
●No.408/02.6.25







「蛇の殻
 風に命を
 もろて
 這う。」

は本日発売のサンデー毎日・サンデー俳句王に掲載された私の俳句。ほぼ月一回のペースで載っていたのに何と今年はこれが初入選。俳句とコピーは類似点が多く、大先輩の仲畑貴志氏は俳句も川柳もたしなんでおられるし、そのセンスは老害・金子兜太氏をもちろん凌ぐ。
●No.407/02.6.24







「おいしいもの
 支度中 。」

とは、昨夜行った東京・北青山「寅福」にあった準備中時の貼り紙の言葉。ありそうでない表現が雰囲気を出している。まぐろのかま塩焼きは2〜3人前とある通りボリューム満点で美味。ただ竈で炊いた肝心のご飯が無味無臭では期待外れ。たまたま外れの米だったのか。
●No.406/02.6.23







「世間を
 お騒がせ
 した。」

昨夜のNHKニュースで鈴木宗男議員辞職勧告決議可決へのコメントとして福田官房長官が恥ずかしげもなく放った言葉。それが理由ならいまの大臣はみんな辞めなければならぬ。つまりこれは既に意味ある言葉ではないのだ。この人がなぜ評価されているかが分からない。
●No.405/02.6.22







「このCMは、
 『化』」
  を分解する
  と『イヒ』
  になること
 しか伝えて
 いない。」

広告批評(06/07号)掲載の故ナンシー関氏の遺稿。言いたかったことを言ってくれた。こんな言葉、業界内からは絶対に出ない。私も全く同感で「いいこと思いついた」で「もうそろそろいいんじゃないか」もその通り。旭化成、果たして社内は変わったのだろうか?
●No.404/02.6.21







「1円持って
 いらっ
 しゃる?」

よく行く会社近くのパン屋さんが441円の買い物に5千円札で支払った私にこう言った。若い店員なら「1円ありますぅ?」だろう。そのうち「1円は?」なんて脅される時代が来るかもしれない。言葉がどんどん貧しく、寂しく、味気なく、冷たく、下品になっていく。
●No.403/02.6.20







「梅雨時に
 聴きたい曲。」

と、売れないジャズのCDにPOPを付けたら4枚売れたと宣う知り合いのヴァージンメガストアズ・ジャパン某店担当。曲も聴かずにキャッチを考えるというから凄い。でも、それが縁で好きな曲と巡り会う場合だってある。ちなみに最近雨がテーマの曲も映画も少ない。
●No.402/02.6.19







「歴史的敗戦。」
今朝のとくダネ!で大村氏は、5点差で負けた昨年のサッカー対フランス戦をこう表したが、W杯絡みで濫用されている「歴史的」の誤用だ。あの試合は単なる惨敗で、どこが歴史的なのか? 強調するなら他の語句を使うべきで、本当にレポーターって言葉のレベルが低い。
●No.401/02.6.18







「子どもを
 生まない
 これだけ
 の理由。」

の見出しは本日発売のサンデー毎日。1.33に下がった出生率の原因に、パラサイト、妊娠女性の労働環境の未整備、子育ての出費高騰、出産への不安をあげている。どれももっともだが「親として子が生きる時代に責任が負えるか」という根本的な問いかけはなかった。
●No.400/02.6.17







「プロ野球だって
 熱戦。」

と阪神×巨人戦9 回攻防時の実況アナ。W杯を観ているとやはりスピード感はサッカーか。それに守備位置(陣容)が固定した野球より、組替え可能なサッカーの方が戦争とは似る。そのくせフェアプレーが重んじられ手が使えない“マゾ的ルール”も一因? 野球がんばれ!
●No.399/02.6.16







「おばあちゃん
 ばっかりで
 イヤ。」

72歳になる母が“おばあちゃんの原宿”巣鴨・とげぬき地蔵に行った。「世の中こんなにおばあちゃんがいるの」と驚くほどのお年寄りの数だったという。もちろん母もりっぱなおばあちゃんだが認めたくないらしい。ちなみに“おじいちゃん”は数えるほどだったとか。
●No.398/02.6.15







「ニッポン!」
と歓声を上げ腕を振り上げていた雨中の渋谷駅、本日23時53分のブルーの群衆。しかしそれは正しくは“ニッポンW杯代表”であって日本という国ではない。そもそもあの若者達にとってW杯後の「ニッポン」とは何なのだろう。恐らく答えられない数が圧倒的だろう。
●No.397/02.6.14







「無責任、無気力
 の小泉首相。」

とは本日配信の民主党メールマガジンにおける鳩山党首の言葉。野党第一党の党首が時の首相を批判するのは当たり前だが、昨日の国会の模様を見れば納得がいく。新聞はすぐさま最近の小泉首相の言動一覧表を作れ!いかにそれが矛盾に満ちた言い逃れであるかが分かる。
●No.396/02.6.13







「Production。」
と広告制作会社のことを言うが英語で説明してもネイティブに通じなかった。しかしそれは私の英会話の力不足ではなかった。Advertisingを専攻していたオーストラリア人の口からこの言葉が出たので訊くと「専門用語だから一般的ではない」とのこと。納得。
●No.395/02.6.12







「深夜トイレ
 に起きベッドに
 戻った時の
 頭の
 ひらめき。」

についてオペラ歌手・岡村喬生氏の談(朝日新聞本日夕刊)。それは「俺は天才だ!」と思えるほどの思いつきらしい。そこまでは行かぬが私も布団に横になった時、考えていた広告のキャッチを思いつくことがある。ただし、すぐにメモしておかないと逃げられてしまう。
● No.394/02.6.11







「富士写。」
本日の東急田園都市線下り車内にてサラリーマン風の男が同僚とデジカメの話をしていて放った言葉。富士写真フィルムの略だが、話し相手が理解できず言い直していた。先日の「ジョブ?」に続き、相手への配慮が見られぬ極めて利己的な言葉の短縮が起きているようだ
● No.393/02.6.10







「機は塾せり。」
とは、鳩山民主党と小沢自由党の両党首をゲストに招いた本日朝の報道2001冒頭テロップの言葉。この場合の「塾」のように、最近テレビ番組での単純な誤字が目立つ。辞書を頼りにアナログでやっていた時代よりは確実に増加しているに違いない。自戒も含めて苦言。
● No.392/02.6.9







「カルテを見て
 調べる。」

知り合いの看護婦さんと、患者さんとの出会いの話を。「骨折とかで入院だったらいいけど内臓関係の病気だったら嫌でしょ」と、先輩の看護婦さんもカルテで調べて大丈夫と確認してから付き合っていたとのこと。内容よりもその勢いに圧倒。看護婦はこうでなくては?!
●No.391/02.6.8







「自由について
 のゆがんだ
 意識。」

朝日新聞本日夕刊で松井大阪大教授は市民の自由意識をこう評している。そうした一面を否定しないが、それと個人情報保護法案における報道の自由への無関心とを同一視するのは学者の強引さだ。他ならぬ一市民である私は、マスコミの政治監視機能に憤りを感じている。
●No.390/02.6.7







「みんなが
 ルールを守って
 街に
 落ち着きが
 あった。」

と中邨秀雄吉本興業会長(日本経済新聞本日朝刊)。氏が少年の頃を過ごした大阪・千日前の様子を語ったものだ。「今みたいに通りの真ん中に看板を出すようなことはしなかった。」近頃の他人に対する配慮のなさは、確かに街並の風景等にも表れているのかもしれない。
●No.389/02.6.6







「時計はもう
 体の一部。」

と井上ヤナセ社長(ブルータス6/15号)。VIP愛用の時計特集にはお祝いや贈り物、父母の形見等の由来が並ぶ。私の時計は遙か格下で中学入学祝のセイコー5アクタス。30代後半〜40代の方には懐かしい名で復刻版もある由。よって私は時計売場に興味がない。
●No.388/02.6.5







「大変混雑して
 おります!」

と、今日の東急田園都市線下りの18時台の電車は各駅でアナウンスしていたそうだ。原因は、言わずとしれたFIFAワールドカップ日本初戦の観戦のため。食も危機、職も危機、人権すら危機にある日本だというのに平和なものだ。おかげで終電近くの空いていたこと。
●No.387/02.6.4







「What is your
 greatest
 weakness?」

欧米では面接で「短所を言ってください」と言われるらしい(週刊ST/MAY31)。ここには模範回答もあって、「仕事がうまく運ぶように、つい遅くまで働いてしまう」と「人前で話せなかったがスピーチの本を読んで克服した」と逆に売り込む。なんだ、この回答。
●No.386/02.6.3







「長。」
敬愛する書家・石川九楊氏の一日一書の本日はこの言葉。織田信長が明智光秀に襲われた本能寺の変は今日未明起きたとのこと。8年前日経に連載された氏の見失った手も名随筆で、荷物を背負い手ぶらで歩く都会人に警鐘を鳴らしていたのを私はいつも電車内で思い出す。
●No.385/02.6.2







「短くても
 気概を
 持って。」

と国会の会期延長に釘をさした古賀前自民幹事長の談話(本日のNHKニュース)を聞き、有事の定義も、瀋陽の日本総領事館問題の真実も、郵政民営化の行方も、個人情報保護法案の目指す内容も、全て不明確な議論に背を向け精神論に終始した氏に絶望を超え落胆した。
●No.384/02.6.1

※川中紀行のブログ「いいコトバ」もぜひご覧ください。

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