6月6日の日本経済新聞朝刊・広告特集「CHANGE!」(4頁)で、(1)書道家・武田双雲氏のインタビュー記事(2)「ゴルフY」とアスリートの大記録を絡めたエッセイ(3)「シロッコ」で都内〜横浜をドライブし試乗レポート(4) 「ゴルフY」に試乗しエコドライブに関するインタビュー記事を作成した。
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〔コピー事例/「ゴルフY」とアスリートの大記録を絡めたエッセイ〕
破れない記録
トップアスリートが前人未到の大記録を樹立した瞬間、スポーツ実況で「今世紀中は破れない」などと表現することがある。一流選手の記録はそれほど強烈なインパクトで常にファンに迎えられる。
オリンピック・世界選手権で実施される陸上競技の屋外種目に限定した場合、男女で最も長い間破られていない世界記録(2009年5月20日現在)は、1983年7月26日に生まれた「女子800メートル」の記録1分53秒28である。
陸上競技における肉体の理論やシューズ機能などが日進月歩にある環境下で、26年間も世界記録であり続けること自体、奇跡かもしれない。
トップアスリートという存在が以前より英雄視されるのは、新たな記録樹立を多くの人が待っている表れでもある。人類の頂点に立つ最高の記録は今や、アスリートのものであると同時に、ファンのものでもあるといえよう。
ゴルフY、クルマの本質
「これ以上のクルマはつくれない」−−。開発者にこうまで言わしめた、クルマがある。
トップアスリートの記録と同じように感動をもって迎えられたゴルフYだ。クルマづくりにおけるこの「記録」もまた、ファンであるドライバーの存在抜きには語れない。社名にVolks(=国民)のWagen(=車両)を冠するフォルクスワーゲンであれば、なおさらだ。
自動車発祥の地、ドイツは今なお世界に冠たる自動車大国だ。その大きな源流となっているのは、世界で唯一といわれる速度無制限の高速道路「アウトバーン」である。世界に先駆け1935年に開通したこの高速道路を自由に乗りこなすために、高速で乗り心地がよく、安全性を重視したクルマが求められた。
日常的に時速200キロを使いこなす国民には、未完成の技術はすぐ見破られてしまう。彼らは、常に性能を実証しながら生活しているといっていいほどだ。例えば燃費もカタログ数値だけでなく自分のパターンに合った実用燃費を尊重する。カタログの最高速度は、瞬間的に出せる速度ではなく、ずっと維持できる数字を意味する。そうした国柄でクルマが鍛えられていることが、ドイツ車を性能面で世界をリードし続ける存在になし得たといえる。
とりわけフォルクスワーゲンは、高度なクルマ社会の中ですべてのユーザーが安心して満足を得られるよう、車種にこだわらずに技術革新の結果を惜しげもなく投入してきた。「誰もが得られる最高性能」こそが彼らのフィロソフィーであり、自動車メーカーとして、非常に稀有(けう)な存在といえる。
新記録に匹敵する感動
そんなフォルクスワーゲンが初代ゴルフを生み出したのは1974年。前輪駆動を採用し、コンパクトながらも大人5人が余裕を持って座れるパッケージングで世界にセンセーションを巻き起こした。その衝撃的な「記録」以来、フォルクスワーゲンの顔となったゴルフには、すべての世代で最新技術が注ぎ込まれてきた。それは、時代ごとのクルマの本質を見つめ、可能性を追求してきた歴史でもあった。
そして2009年、初代ゴルフ以来の衝撃で迎えられたのが、ゴルフYである。それこそまさに「今世紀中は破れない」と表現される新記録の感動に匹敵する。これまで限られたドライバーのみが享受できた静粛性、エンジンパワーをスムーズに効率的に伝えるパワートレーン、高級なインテリアのしつらえとともに、現代に必須の驚くべき燃費性能。クラスを超えたこれらの性能が主力車種ゴルフすべてのグレードに備わったのである。
可能性の極限へ
ひとつのクルマの到達点を予感させるゴルフY誕生の裏には、これまでクルマの常識をくつがえした同社の「Reset Your Values.」というコンセプトがある。ラグジュアリーカーだから高級感があるとか、エコカーだから環境性能が高いなどという “常識”や“思い込み”は、ゴルフYで変わるという考えだ。実際、ゴルフYを体験すれば、われわれがこれまでクルマに求めていたすべての価値観をリセットさせられてしまう。
ゴルフYには、クルマに乗るすべての人が革新的な技術や高品質の恩恵を受けるべきだという、フォルクスワーゲンのフィロソフィーを見て取れる。これこそが「国民のクルマ」を意味する社名を冠する、フォルクスワーゲンのDNAといってもいいだろう。
遠い未来を考えれば、これ以上のゴルフが生まれる可能性はもちろんある。しかし、ゴルフYはそれを想像することさえ許さない完成度に達成している。まさにトップアスリートの出した世界記録と同じだ。